このガイドでは、Compute Engine VM インスタンス、Compute Engine ベアメタル インスタンス、Bare Metal Solution サーバーで Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 1 を実行するにあたり、運用上留意する点と手順について説明します。
エージェントのライフサイクルを理解する
Google Cloud の SAP 用エージェントの運用管理を行うには、エージェントの機能を把握しておくと便利です。一般的な仕組みは次のとおりです。
- SAP システムをホストする各 Compute Engine インスタンスまたは Bare Metal Solution サーバーに、Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールする必要があります。エージェントは Linux サービスまたは Windows サービスとして実行されます。
- Compute Engine インスタンスで、エージェントは Monitoring と Compute Engine API のモニタリング データを結合します。
- Bare Metal Solution サーバーで SAP Host Agent の指標のみを収集する場合、エージェントは Google Cloud APIs にアクセスしません。
- SAP Host Agent は、HTTP を介して Google Cloud の SAP 用エージェントをポーリングし、キャッシュ データの有無を確認します。SAP Host Agent の指標を集約して報告し、SAP NetWeaver データベースに保存します。
- SAP のトランザクション
ST06
またはsaposcol
コマンドライン インターフェースに、SAP Host Agent の指標が集計されて表示されます。 - Google Cloud の SAP 用エージェントから SAP Host Agent の指標を表示するには、ターミナル ウィンドウでコマンドを実行します。
エージェントが実行されていることを確認する
エージェントをインストールした後、またはエージェントを再起動した後に、エージェントが期待どおりに動作していることを確認します。
エージェントが実行されているかどうかを確認するには、次の操作を行います。
Linux
Bare Metal Solution サーバーまたは Compute Engine インスタンスとの SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
systemctl status google-cloud-sap-agent
エージェントが正常に機能している場合、出力には
active (running)
が含まれます。次に例を示します。google-cloud-sap-agent.service - Google Cloud Agent for SAP Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/google-cloud-sap-agent.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Fri 2022-12-02 07:21:42 UTC; 4 days ago Main PID: 1337673 (google-cloud-sa) Tasks: 9 (limit: 100427) Memory: 22.4 M (max: 1.0G limit: 1.0G) CGroup: /system.slice/google-cloud-sap-agent.service └─1337673 /usr/bin/google-cloud-sap-agent
Windows
RDP を使用して Compute Engine インスタンスに接続します。
管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
エージェントが実行されている場合、ステータスは$(Get-Service -Name 'google-cloud-sap-agent' -ErrorAction Ignore).Status
Running
になります。
Google Cloud の SAP 用エージェントが実行されていない場合は、エージェントを再起動します。
SAP Host Agent が指標を受信していることを確認する
Google Cloud の SAP 用エージェントによってインフラストラクチャの指標が収集され、SAP Host Agent に正しく送信されていることを確認するには、次の操作を行います。
- SAP システムで、トランザクションとして「
ST06
」を入力します。 概要ウィンドウで可用性と以下のフィールドの内容を確認し、SAP と Google モニタリング インフラストラクチャのエンドツーエンドの設定が正しいか調べます。
- クラウド プロバイダ:
Google Cloud Platform
- Enhanced Monitoring Access:
TRUE
- Enhanced Monitoring Details:
ACTIVE
- クラウド プロバイダ:
モニタリング指標を表示する
Google Cloud の SAP 用エージェントの構成をインストールまたは更新した後、モニタリング対象の SAP Host Agent の指標を表示できます。
モニタリング対象の SAP Host Agent の指標を表示する手順は次のとおりです。
Linux
ホスト Compute Engine インスタンスまたは Bare Metal Solution サーバーと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
curl http://localhost:18181
指標が利用可能な場合は、システムに関する情報を含む XML 出力が表示されます。次に例を示します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="yes"?> <metrics> <metric category="cpu" context="vm" type="double" unit="Percent" last-refresh="1670422670" refresh-interval="60"> <name>VM Processing Power Consumption</name> <value>0.0</value> </metric>
Windows
RDP を使用して Compute Engine インスタンスに接続します。
管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
(Invoke-WebRequest -Uri 'http://localhost:18181').RawContent
指標が利用可能な場合、システムに関する情報を含む XML 出力が表示されます。次に例を示します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="yes"?> <metrics> <metric category="cpu" context="vm" type="double" unit="Percent" last-refresh="1670422528" refresh-interval="60"> <name>VM Processing Power Consumption</name> <value>10.0</value> </metric>
Process Monitoring 指標と Workload Manager 評価指標を検証する
構成を更新したら、Process Monitoring 指標と Workload Manager 評価指標が使用可能であることを確認する必要があります。Google Cloud の SAP 用エージェントによって収集された指標と情報には、Cloud Monitoring でアクセスできます。
Monitoring で指標を確認する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで、Monitoring の [Metrics Explorer] ページに移動します。
[CONFIGURATION] タブを選択します。
[指標を選択] メニューを開きます。
[リソース] メニューで、[VM instance] を選択します。
[指標カテゴリ] メニューで、[sap] を選択します。
[指標] メニューで、
metric: workload.googleapis.com/sap/service/active
またはグラフ化する新しい指標を選択します。[適用] をクリックします。
時系列指標の値を含むグラフが表示されます。
エージェントを再起動する
Google Cloud の SAP 用エージェントが停止するか、構成を更新した場合は、エージェントを再起動します。
ご使用のオペレーティング システムに応じて、次の操作を行います。
Linux
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo systemctl restart google-cloud-sap-agent
Windows
ホストのコンピューティング インスタンスと RDP 接続を確立します。
管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
Restart-Service -Name 'google-cloud-sap-agent' -Force
SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントから Google Cloud の SAP 用エージェントにアップグレードする
Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールすると、SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントの古いバージョンが自動的に検出されます。このエージェントは無効になり、インストール中にホストサーバーから削除されます。
インストール中に SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントが検出され、既存の構成ファイルが見つかった場合、インストール プロセスで自動的に既存の構成が Google Cloud の SAP 用エージェント エージェントに移行されます。
Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールして構成する手順については、Google Cloud の SAP 用エージェントのインストールと構成のガイドをご覧ください。
Google Cloud の SAP 用エージェントを更新する
このセクションでは、Google Cloud の SAP 用エージェントの新しいバージョンが提供されているかどうかを確認する手順と、Google Cloud の SAP 用エージェントをバージョン 3.6(最新)に更新する方法について説明します。
最新ではないバージョンのエージェントに更新する必要がある場合は、Cloud カスタマーケアにお問い合わせください。
更新を確認する
ご使用のオペレーティング システムに応じて、次の操作を行います。
RHEL
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo yum check-update google-cloud-sap-agent
SLES
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo zypper list-updates -r google-cloud-sap-agent
Windows
ホストのコンピューティング インスタンスと RDP 接続を確立します。
管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
googet latest google-cloud-sap-agent
更新をインストールする
Google Cloud の SAP 用エージェントのインスタンスをバージョン 3.6(最新)に更新するには、オペレーティング システムを選択してから、次の操作を行ってください。
最新ではないバージョンのエージェントをインストールする必要がある場合は、Cloud カスタマーケアにお問い合わせください。
RHEL
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo yum --nogpgcheck update google-cloud-sap-agent
SLES
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo zypper --no-gpg-checks update google-cloud-sap-agent
Windows
ホストのコンピューティング インスタンスと RDP 接続を確立します。
管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
googet install google-cloud-sap-agent
以前のバージョンにロールバックする
必要に応じて、Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 1 を SAP NetWeaver 用モニタリング エージェント バージョン 2 にロールバックできます。
ご使用のオペレーティング システムに応じて、次の操作を行います。
RHEL
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo yum remove google-cloud-sap-agent
SAP NetWeaver 用モニタリング エージェント バージョン 2 をインストールします。SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントをインストールする方法については、SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントのインストール ガイドを選択するをご覧ください。
SLES
ホストのコンピューティング インスタンスと SSH 接続を確立します。
次のコマンドを実行します。
sudo zypper remove google-cloud-sap-agent
SAP NetWeaver 用モニタリング エージェント バージョン 2 をインストールします。SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントをインストールする方法については、SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントのインストール ガイドを選択するをご覧ください。
Windows
ホストのコンピューティング インスタンスと RDP 接続を確立します。
管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
googet remove google-cloud-sap-agent
SAP NetWeaver 用モニタリング エージェント バージョン 2 をインストールします。SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントをインストールする方法については、SAP NetWeaver 用モニタリング エージェントのインストール ガイドを選択するをご覧ください。
Cloud Logging でエージェントのログを表示する
デフォルトでは、Google Cloud の SAP 用エージェントのログは、Compute Engine インスタンスと Bare Metal Solution サーバーから Cloud Logging にリダイレクトされます。
Logging でエージェントのログを表示する手順は次のとおりです。
Google Cloud コンソールで、[ログ エクスプローラ] ページに移動します。
[ログ エクスプローラ] に移動
[クエリ] ペインに移動します。
[リソース] プルダウン メニューから [グローバル] を選択し、[適用] をクリックします。
クエリエディタで、「
google-cloud-sap-agent
」と入力します。[クエリを実行] をクリックします。
すべての Compute Engine インスタンスまたは Bare Metal Solution サーバーで実行されているエージェント インスタンスによって生成されたログが表示されます。特定のマシンのログをフィルタするには、インターフェースで使用可能なフィルタを使用します。
エージェント ログのこのデフォルトのリダイレクトは無効にできます。方法は次のとおりです。
Bare Metal Solution サーバーのホスト Compute Engine インスタンスとの SSH 接続を確立します。
次の構成ファイルを開きます。
/etc/google-cloud-sap-agent/configuration.json
log_to_cloud
パラメータの値をfalse
に更新します。構成ファイルを保存します。
エージェントを再起動して、この変更を有効にします。