Google Cloud の SAP 用エージェントを Compute Engine インスタンスにインストールして構成する

Google Cloud の SAP 用エージェントは、SAP NetWeaver、SAP HANA、SAP ASE、SAP MaxDB など、Google Cloud 上で実行される SAP システムの SAP サポートに必要です。

SAP Host Agent の指標の場合、Compute Engine VM インスタンスに Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールすると、Cloud Monitoring と Compute Engine API のモニタリング データが結合され、そのデータが SAP Host Agent に提供されます。

Google Cloud が提供する次の「SAP 用」RHEL または SLES OS イメージを使用する場合、Google Cloud の SAP 用エージェントは OS イメージに含まれています。

  • RHEL: すべての「SAP 用」イメージ
  • SLES: SAP 用 SLES 15 SP4 以降のバージョン

Google Cloud の SAP 用エージェントでサポートされているオペレーティング システムについては、サポートされているオペレーティング システムをご覧ください。

Bare Metal Solution サーバーに Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 3.6(最新)をインストールして構成するには、Google Cloud の SAP 用エージェントを Bare Metal Solution サーバーにインストールするをご覧ください。

インストールの概要

Linux の場合は、標準のオペレーティング システム パッケージ管理コマンド、RHEL の場合は yum コマンド、SLES の場合は zypper コマンドを使用して、Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールします。パッケージ管理コマンドは次のタスクを実行します。

  • Google Cloud の SAP 用エージェントの最新バージョンをダウンロードします。
  • エージェントを google-cloud-sap-agent という名前の Linux systemd サービスとして作成します。
  • サービス google-cloud-sap-agent を有効にして開始します。

Windows では、GooGet パッケージ管理コマンド googet を使用して、Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールします。パッケージ管理コマンドは次のタスクを実行します。

  • Google Cloud の SAP 用エージェントの最新バージョンをダウンロードします。
  • google-cloud-sap-agent という名前の Windows サービスと、毎分実行されるスケジュール設定されたタスクを作成して、サービスがまだ稼働中かどうかを確認し、必要に応じて再起動します。

エージェントの前提条件

Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールする前に、次の前提条件を満たしていることを確認する必要があります。

必要な IAM ロールを設定する

Google Cloud の SAP 用エージェントが使用するサービス アカウントには、少なくとも Compute 閲覧者(roles/compute.viewerモニタリング閲覧者(roles/monitoring.viewerWorkload Manager Insights ライター(roles/workloadmanager.insightWriterのロールを含める必要があります。

サービス アカウントに必要なロールを追加する手順は次のとおりです。

  1. Google Cloud コンソールの [IAM] ページに移動します。

    [IAM] に移動

  2. Google Cloud プロジェクトを選択します。

  3. ロールを追加するサービス アカウントを特定します。

    • サービス アカウントがまだプリンシパル リストに含まれていない場合、サービス アカウントには何もロールが割り当てられていません。[追加] をクリックし、サービス アカウントのメールアドレスを入力します。
    • このサービス アカウントがすでにプリンシパル リストに含まれている場合、サービス アカウントには既存のロールがあります。編集するサービス アカウントの [編集] ボタンをクリックします。
  4. 使用可能なロールのリストから必要なロールを選択します。

    • Compute Engine > Compute 閲覧者
    • Monitoring > モニタリング閲覧者
    • Workload Manager > Workload Manager Insights ライター
  5. [追加] または [保存] をクリックして、サービス アカウントにロールを適用します。

Google Cloud APIs へのアクセスを有効にする

Compute Engine では、すべての Cloud APIs にすべてのアクセス スコープを使用できるようにコンピューティング インスタンスを構成し、インスタンス サービス アカウントの IAM 権限のみを使用して Google Cloud リソースへのアクセスを制御することをおすすめします。詳細については、ユーザー管理のサービス アカウントを使用する VM を作成するをご覧ください。

Cloud APIs へのアクセスを制限する場合、Google Cloud の SAP 用エージェントには、ホストの Compute Engine インスタンスで次の最小 Cloud API アクセス スコープが必要です。

  • Cloud Platform: 有効
  • Compute Engine: 読み取り専用
  • Stackdriver Monitoring API: 読み取り専用

外部 IP アドレスを持たないコンピューティング インスタンスで SAP アプリケーションを実行している場合は、コンピューティング インスタンスのサブネットで限定公開の Google アクセス を有効にして、Google Cloud の SAP 用エージェントが Google API とサービスにアクセスできるようにします。サブネットで限定公開の Google アクセスを有効にするには、限定公開の Google アクセスの構成をご覧ください。

エージェントをインストールする

Compute Engine インスタンスに Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールするには、オペレーティング システムを選択してから、次の操作を行います。

Linux

Compute Engine インスタンスにエージェントをインストールする手順は次のとおりです。

  1. コンピューティング インスタンスへの SSH 接続を確立します。
  2. ターミナルでオペレーティング システムに固有のコマンドを実行して、エージェントをインストールします。
    • (推奨)エージェントのバージョン 3.6(最新)をインストールするには:

      RHEL

      sudo tee /etc/yum.repos.d/google-cloud-sap-agent.repo << EOM
      [google-cloud-sap-agent]
      name=Google Cloud Agent for SAP
      baseurl=https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-el$(cat /etc/redhat-release | cut -d . -f 1 | tr -d -c 0-9)-x86_64
      enabled=1
      gpgcheck=1
      repo_gpgcheck=0
      gpgkey=https://packages.cloud.google.com/yum/doc/yum-key.gpg https://packages.cloud.google.com/yum/doc/rpm-package-key.gpg
      EOM
      sudo yum install google-cloud-sap-agent

      SLES15

      sudo zypper addrepo --refresh https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-sles15-x86_64 google-cloud-sap-agent
      sudo zypper install google-cloud-sap-agent

      SLES 12

      sudo zypper addrepo --refresh https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-sles12-x86_64 google-cloud-sap-agent
      sudo zypper install google-cloud-sap-agent
    • 特定のバージョンのエージェントをインストールするには:

      RHEL

      sudo tee /etc/yum.repos.d/google-cloud-sap-agent.repo << EOM
      [google-cloud-sap-agent]
      name=Google Cloud Agent for SAP
      baseurl=https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-el$(cat /etc/redhat-release | cut -d . -f 1 | tr -d -c 0-9)-x86_64
      enabled=1
      gpgcheck=1
      repo_gpgcheck=0
      gpgkey=https://packages.cloud.google.com/yum/doc/yum-key.gpg https://packages.cloud.google.com/yum/doc/rpm-package-key.gpg
      EOM
      sudo yum install google-cloud-sap-agent-VERSION_NUMBER.x86_64

      SLES15

      sudo zypper addrepo --refresh https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-sles15-x86_64 google-cloud-sap-agent
      sudo zypper install google-cloud-sap-agent-VERSION_NUMBER.x86_64

      SLES 12

      sudo zypper addrepo --refresh https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-sles12-x86_64 google-cloud-sap-agent
      sudo zypper install google-cloud-sap-agent-VERSION_NUMBER.x86_64

      VERSION_NUMBER は、インストールするエージェントのバージョン番号(3.1-606637668 など)に置き換えます。インストール可能なエージェント バージョンについては、使用可能なすべてのエージェント バージョンを一覧表示するをご覧ください。

      エージェントを特定のバージョンにダウングレードする方法については、Google Cloud の SAP 用エージェントをダウングレードするをご覧ください。

Windows

Compute Engine インスタンスにエージェントをインストールする手順は次のとおりです。

  1. RDP を使用してコンピューティング インスタンスに接続します。
  2. 管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。
    googet addrepo google-cloud-sap-agent https://packages.cloud.google.com/yuck/repos/google-cloud-sap-agent-windows
    googet install google-cloud-sap-agent

Google Cloud の SAP 用エージェントと SAP Host Agent をインストールしたら、エージェントのインストールを検証するの説明に従って、Google Cloud の SAP 用エージェントのインストールを検証します。

エージェントのインストールを検証する

エージェントが実行されていることを確認するには、オペレーティング システムを選択して次の手順を行います。

Linux

  1. Compute Engine インスタンスと SSH 接続を確立します。

  2. 次のコマンドを実行します。

    systemctl status google-cloud-sap-agent

    エージェントが正常に機能している場合、出力には active (running) が含まれます。次に例を示します。

    google-cloud-sap-agent.service - Google Cloud Agent for SAP
    Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/google-cloud-sap-agent.service; enabled; vendor preset: disabled)
    Active:  active (running)  since Fri 2022-12-02 07:21:42 UTC; 4 days ago
    Main PID: 1337673 (google-cloud-sa)
    Tasks: 9 (limit: 100427)
    Memory: 22.4 M (max: 1.0G limit: 1.0G)
    CGroup: /system.slice/google-cloud-sap-agent.service
           └─1337673 /usr/bin/google-cloud-sap-agent
    

  3. SLES イメージで Google Cloud の SAP 用エージェントの最新バージョンを使用するには、次のコマンドを実行します。

    sudo zypper remove google-cloud-sap-agent
    sudo zypper addrepo -p 98 --refresh https://packages.cloud.google.com/yum/repos/google-cloud-sap-agent-sles15-\$basearch google-cloud-sap-agent
    sudo zypper install google-cloud-sap-agent

Windows

  1. RDP を使用して Compute Engine インスタンスに接続します。

  2. 管理者として PowerShell から次のコマンドを実行します。

    $(Get-Service -Name 'google-cloud-sap-agent' -ErrorAction Ignore).Status
    エージェントが実行されている場合、ステータスは Running になります。

エージェントが実行されていない場合は、エージェントを再起動します。

SAP Host Agent が指標を受信していることを確認する

Google Cloud の SAP 用エージェントによってインフラストラクチャの指標が収集され、SAP Host Agent に正しく送信されていることを確認するには、次の操作を行います。

  1. SAP システムで、トランザクションとして「ST06」を入力します。
  2. 概要ウィンドウで可用性と以下のフィールドの内容を確認し、SAP と Google モニタリング インフラストラクチャのエンドツーエンドの設定が正しいか調べます。

    • クラウド プロバイダ: Google Cloud Platform
    • Enhanced Monitoring Access: TRUE
    • Enhanced Monitoring Details: ACTIVE

Linux で Google Cloud の SAP 用エージェントを構成する

Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールしたら、必要に応じて、次の構成を行うことでエージェントの他の機能を有効にできます。デフォルトでは、SAP Host Agent の指標Workload Manager 評価指標の収集が有効になっています。

次の機能は Linux でのみサポートされています。Windows ではサポートされていません。

デフォルトの構成ファイル

次のスニペットは、Google Cloud の SAP 用エージェント バージョン 3.6(最新)のデフォルト構成の例です。

{
  "provide_sap_host_agent_metrics": true,
  "bare_metal": false,
  "log_level": "INFO",
  "log_to_cloud": true,
  "collection_configuration": {
    "collect_workload_validation_metrics": true,
    "collect_process_metrics": false
  },
  "discovery_configuration": {
    "enable_discovery": true,
    "enable_workload_discovery": true
  },
  "hana_monitoring_configuration": {
    "enabled": false
  }
}

機能固有の構成ファイルの例については、その機能の構成ガイドをご覧ください。

構成パラメータ

次の表に、Compute Engine インスタンスで実行されている Google Cloud の SAP 用エージェントの構成パラメータ(指標の収集に関連するパラメータを含む)を示します。エージェントの Backint 機能に関連する構成パラメータについては、構成パラメータをご覧ください。

パラメータ
provide_sap_host_agent_metrics

Boolean

SAP Host Agent に必要な指標の収集を有効にするには、true を指定します。デフォルトは true です。
Cloud カスタマーケアまたは SAP サポートから求められない限り、provide_sap_host_agent_metricsfalse に設定しないでください。

bare_metal

Boolean

エージェントが Bare Metal Solution サーバーにインストールされている場合は、true を指定します。デフォルトは false です。

log_level

String

エージェントのロギングレベルを設定するには、必要な値を設定します。使用可能なログレベルは次のとおりです。

  • DEBUG
  • INFO
  • WARNING
  • ERROR

デフォルトは INFO です。Cloud カスタマーケアから求められない限り、ロギングレベルを変更しないでください。

log_to_cloud

Boolean

エージェントのログを Cloud Logging にリダイレクトするには、true を指定します。デフォルトは true です。

cloud_properties.project_id

String

SAP システムが Bare Metal Solution サーバーで実行されている場合は、Bare Metal Solution で使用する Google Cloud プロジェクトのプロジェクト ID を指定します。

エージェントが Compute Engine インスタンスで実行されている場合、デフォルトでは、プロジェクト ID が自動的に検出されます。

cloud_properties.instance_name

String

Compute Engine インスタンスの名前を指定します。エージェントは、インストール時にこれを自動的に検出します。

cloud_properties.region

String

SAP システムが Bare Metal Solution サーバーで実行されている場合は、Bare Metal Solution サーバーのリージョンを指定します。

エージェントがコンピューティング インスタンスで実行されている場合、デフォルトでは、エージェントはコンピューティング インスタンスがデプロイされているリージョンを使用します。

cloud_properties.zone

String

エージェントがコンピューティング インスタンスで実行されている場合、デフォルトでは、コンピューティング インスタンスがデプロイされているゾーンが使用されます。

cloud_properties.image

String

インスタンスの OS イメージ名を指定します。

エージェントがコンピューティング インスタンスで実行されている場合、デフォルトでは、コンピューティング インスタンスで使用される OS イメージが自動的に検出されます。

cloud_properties.numeric_project_id

String

SAP システムが実行されている Google Cloud プロジェクトの数値 ID を指定します。

エージェントがコンピューティング インスタンスで実行されている場合、デフォルトでは、プロジェクト番号が自動的に検出されます。

discovery_configuration.enable_workload_discovery

Boolean

エージェントがホストで実行されている SAP プロダクトの名前とバージョンを収集できるようにするには、true を指定します。デフォルト値は true です。

詳細については、GoogleCloudPlatform/sapagentgoogle-cloud-sap-agent GitHub リポジトリにあるエージェントのコードベースをご覧ください。

discovery_configuration.enable_discovery

Boolean

エージェントがホストで実行されている SAP プロダクトについて収集した情報を Cloud Logging に送信するには、true を指定します。デフォルト値は true です。

false を指定すると、エージェントは収集した情報をホストに保存し、Cloud Logging に送信しません。

collection_configuration.collect_process_metrics

Boolean

Process Monitoring 指標の収集を有効にするには、true を指定します。デフォルトは false です。
このパラメータは Linux にのみ適用されます。

SAP HANA のプロセス指標の収集を有効にする場合は、hana_metrics_config の下にリストされている追加のパラメータを設定する必要があります。

collection_configuration.process_metrics_frequency

Int

バージョン 2.6 以降では、このパラメータによって急速に変化する Process Monitoring 指標の収集頻度(秒単位)が決定されます。急速に変化する Process Monitoring 指標は、sap/hana/availabilitysap/hana/ha/availabilitysap/nw/availability です。

このパラメータのデフォルト値は 5 秒です。このデフォルト値を使用することをおすすめします。

変化が緩やかな他の Process Monitoring 指標はすべて、デフォルトの 30 秒の頻度で収集されます。変化が緩やかな Process Monitoring 指標の収集頻度を変更するには、slow_process_metrics_frequency パラメータを使用します。

collection_configuration.slow_process_metrics_frequency

Int

変化が緩やかな Process Monitoring 指標の収集頻度を秒単位で指定します。

このパラメータのデフォルト値は 30 秒です。

collection_configuration.process_metrics_to_skip

Array

エージェントで収集しない Process Monitoring 指標を指定します。このパラメータには、Process Monitoring 指標名のカンマ区切り値を指定できます。例: "process_metrics_to_skip": ["/sap/nw/abap/sessions", "/sap/nw/abap/rfc"]

collection_configuration.hana_metrics_config.hana_db_user

String

エージェントが SAP HANA のクエリに使用するデータベース ユーザー アカウントを指定します。デフォルトは SYSTEM です。

collection_configuration.hana_metrics_config.hana_db_password

String

エージェントが SAP HANA のクエリに使用するデータベース ユーザー アカウントのパスワード(書式なしテキスト)を指定します。

書式なしテキスト パスワードを指定する代わりに、次のいずれかのオプションを使用することをおすすめします。

  • hana_db_password_secret_nameSecret Manager に保存されているシークレットを指定します。
  • hdbuserstore_keyhdbuserstore キーを指定します。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは hana_db_password パラメータよりも優先され、hana_db_password パラメータは hana_db_password_secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

collection_configuration.hana_metrics_config.hana_db_password_secret_name

String

エージェントが SAP HANA のクエリに使用するデータベース ユーザー アカウントのパスワードを安全に指定するには、データベース ユーザー アカウントのセキュリティ認証情報を含むシークレットの名前を指定します。

hana_db_password_secret_namehdbuserstore_key、または hana_db_password のいずれかを指定した場合にのみ、エージェントが SAP HANA 関連の指標を収集します。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは hana_db_password パラメータよりも優先され、hana_db_password パラメータは hana_db_password_secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

collection_configuration.hana_metrics_config.hdbuserstore_key

String

SAP HANA システムに安全に接続するには、そのシステム用に作成したセキュア ユーザーストア(hdbuserstore鍵を指定します。

認証に hdbuserstore 鍵を使用するには、次の点に注意してください。

  • SAP ツール hdbsqlhdbuserstore が、エージェントをホストする Compute インスタンスにインストールされている。
  • hdbuserstore キーが、特定の 1 つの SAP HANA インスタンスに対応している。複数の SAP HANA インスタンスのホスト名を含む鍵は使用できません。
  • SIDadm ユーザーは、このキーを使用して SAP HANA データベースにクエリを実行できます。ここで、SIDsid パラメータに指定した値を参照します。これを検証するには、SIDadm ユーザーとして次のコマンドを実行します。
    hdbsql -U HDB_USERSTORE_KEY "SELECT * FROM DUMMY"

この構成パラメータは、エージェントのバージョン 3.3 以降でサポートされています。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは hana_db_password パラメータよりも優先され、hana_db_password パラメータは hana_db_password_secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

collection_configuration.hana_metrics_config.sid

String

SAP HANA インスタンスの SID を指定します。hdbuserstore キーを使用して SAP HANA の認証を行う場合は、hdbuserstore_key セクションをご覧ください。

collection_configuration.collect_workload_validation_metrics

Boolean

Workload Manager 評価指標の収集を有効にするには、true を指定します。バージョン 3.2 以降、デフォルト値は true です。
このパラメータは Linux にのみ適用されます。

collection_configuration.workload_validation_metrics_frequency

Int

Workload Manager 評価指標の収集頻度(秒)。デフォルト値は 300 秒です。

Workload Manager 指標の収集頻度を変更する必要がある場合は、collection_configuration セクションに workload_validation_metrics_frequency パラメータを追加して必要な値を指定します。

collection_configuration.workload_validation_collection_definition.fetch_latest_config

Boolean

省略可。デフォルト値は true です。これにより、エージェントを更新しなくても、エージェントは最新の Workload Manager 評価指標のセットを収集できます。この動作を無効にするには、構成ファイルでこのパラメータを指定し、値を false に設定します。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hana_db_user

String

SAP HANA インスタンスのクエリに使用するユーザー アカウントを指定します。ユーザー アカウントには、SAP HANA データベースに対する読み取り権限が必要です。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hana_db_password

String

SAP HANA インスタンスのクエリに使用するユーザー アカウントのパスワードを指定します。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは hana_db_password パラメータよりも優先され、hana_db_password パラメータは hana_db_password_secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hana_db_password_secret_name

String

ユーザー アカウントのパスワードを保存する Secret Manager に Secret の名前を指定します。

または、hdbuserstore_key 構成パラメータを指定して、指定した SAP HANA ユーザーを認証することもできます。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは hana_db_password パラメータよりも優先され、hana_db_password パラメータは hana_db_password_secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hdbuserstore_key

String

SAP HANA システムに安全に接続するには、そのシステム用に作成したセキュア ユーザーストア(hdbuserstore鍵を指定します。

認証に hdbuserstore 鍵を使用するには、次の点に注意してください。

  • SAP ツール hdbsqlhdbuserstore が、エージェントをホストする Compute インスタンスにインストールされている。
  • hdbuserstore キーが、特定の 1 つの SAP HANA インスタンスに対応している。複数の SAP HANA インスタンスのホスト名を含む鍵は使用できません。
  • SIDadm ユーザーは、このキーを使用して SAP HANA データベースにクエリを実行できます。ここで、SIDsid パラメータに指定した値を参照します。これを検証するには、SIDadm ユーザーとして次のコマンドを実行します。
    hdbsql -U HDB_USERSTORE_KEY "SELECT * FROM DUMMY"

この構成パラメータは、エージェントのバージョン 3.3 以降でサポートされています。

hdbuserstore_key を指定する場合、hostname パラメータと port パラメータを省略できます。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは hana_db_password パラメータよりも優先され、hana_db_password パラメータは hana_db_password_secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.sid

String

SAP HANA インスタンスの SID を指定します。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.hostname

String

SAP HANA インスタンスをホストするマシン(ローカルまたはリモート)の識別子を指定します。サポートされている値は次のとおりです。

  • ホストがローカルマシンの場合は、文字列 localhost または localhost ループバック IP アドレス(127.0.0.1 など)を指定します。
  • ホストがリモートマシンの場合は、内部 IP アドレスまたは外部 IP アドレスを指定します。
collection_configuration.workload_validation_db_metrics_config.port

String

SAP HANA インスタンスがクエリを受け付けるポートを指定します。最初の、または唯一のテナント データベース インスタンスの場合、ポートは 3NN15 になります。ここで、NN は、SAP HANA インスタンスのインスタンス番号です。

collection_configuration.workload_validation_db_metrics_frequency

Int

Workload Manager の評価に関する SAP HANA データベース指標の収集頻度(秒)。デフォルトは 3600 秒です。

SAP HANA データベースの指標の収集頻度は更新できますが、デフォルト値を使用することをおすすめします。デフォルト値を変更する必要がある場合は、collection_configuration セクションに workload_validation_db_metrics_frequency パラメータを追加して必要な値を指定します。収集頻度は 3600 秒以下にしてください。

hana_monitoring_configuration.enabled

Boolean

省略可。Google Cloud の SAP 用エージェントが SAP HANA モニタリング指標を収集できるようにするには、true を指定します。デフォルト値は false です。

次の子パラメータは、hana_monitoring_configuration.enabled: true を指定した場合にのみ適用されます。
hana_monitoring_configuration.sample_interval_sec

Int

省略可。サンプル間隔を秒単位で指定します。これにより、Google Cloud の SAP 用エージェントが SAP HANA インスタンスにクエリを実行して SAP HANA モニタリング指標を収集する頻度を決定します。デフォルト値は 300 秒です。

Google Cloud の SAP 用エージェントの構成ファイルで定義されているクエリごとに、必要な間隔を sample_interval_sec パラメータに指定することで、グローバル サンプル間隔を上書きできます。サンプル間隔は 5 秒以上にする必要があります。

hana_monitoring_configuration.query_timeout_sec

Int

省略可。SAP HANA インスタンスに対して実行する各クエリのタイムアウトを指定します。デフォルト値は 300 秒です。

hana_monitoring_configuration.execution_threads

Int

省略可。SAP HANA インスタンスにクエリを送信するために使用するスレッド数を指定します。各クエリはそれぞれのスレッドで実行されます。デフォルト値は 10 です。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.name

String

SAP HANA インスタンスの名前識別子を指定します。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.sid

String

SAP HANA インスタンスの SID を指定します。この文字列は、SAP HANA インスタンスへのクエリの結果から得られるすべての指標にラベルとして追加されます。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.host

String

SAP HANA インスタンスをホストするマシン(ローカルまたはリモート)の識別子を指定します。サポートされている値は次のとおりです。

  • ホストがローカルマシンの場合は、文字列 localhost または localhost ループバック IP アドレス(127.0.0.1 など)を指定します。
  • ホストがリモートマシンの場合は、内部 IP アドレスまたは外部 IP アドレスを指定します。
hana_monitoring_configuration.hana_instances.port

String

SAP HANA インスタンスがクエリを受け付けるポートを指定します。最初のまたは唯一のテナント データベース インスタンスの場合、ポートは 3NN15 になります。ここで、NN は、SAP HANA インスタンスのインスタンス番号です。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.user

String

SAP HANA インスタンスのクエリに使用するユーザー アカウントを指定します。

このユーザーに、SAP HANA データベースのモニタリング ビューを読み取る権限があることを確認してください。この権限が付与されていないと、モニタリング ビューに関連する SAP HANA モニタリング指標にはデータは含まれません。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.password

String

省略可。SAP HANA インスタンスにクエリを行うためのユーザー アカウントを認証するパスワードを書式なしテキストとして指定します。

認証には、次のいずれかを指定する必要があります。

  • password パラメータに書式なしテキストのパスワードを指定します。
  • (推奨)Secret Manager を使用してパスワードをシークレットとして保存する場合は、対応するシークレット名を secret_name パラメータに指定する必要があります。
  • (推奨)hdbuserstore_key パラメータの hdbuserstore キー

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは password パラメータよりも優先され、password パラメータは secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.secret_name

String

省略可。ユーザー アカウントのパスワードを保存する Secret Manager に Secret の名前を指定します。

SAP HANA 認証の場合、エージェントは次の優先順位を使用します。指定されている場合、hdbuserstore_key 構成パラメータは password パラメータよりも優先され、password パラメータは secret_name パラメータよりも優先されます。構成ファイルで設定する認証オプションは 1 つだけにすることをおすすめします。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.hdbuserstore_key

String

SAP HANA システムに安全に接続するには、そのシステム用に作成したセキュア ユーザーストア(hdbuserstore鍵を指定します。

認証に hdbuserstore 鍵を使用するには、次の点に注意してください。

  • SAP ツール hdbsqlhdbuserstore が、エージェントをホストする Compute インスタンスにインストールされている。
  • hdbuserstore キーが、特定の 1 つの SAP HANA インスタンスに対応している。複数の SAP HANA インスタンスのホスト名を含む鍵は使用できません。
  • SIDadm ユーザーは、このキーを使用して SAP HANA データベースにクエリを実行できます。ここで、SIDsid パラメータに指定した値を参照します。これを検証するには、SIDadm ユーザーとして次のコマンドを実行します。
    hdbsql -U HDB_USERSTORE_KEY "SELECT * FROM DUMMY"

この構成パラメータは、エージェントのバージョン 3.3 以降でサポートされています。

hdbuserstore_key を指定する場合、host パラメータと port パラメータを省略できます。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.enable_ssl

Boolean

省略可。SAP HANA インスタンスで SSL を有効にするかどうかを指定します。デフォルト値は false です。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.host_name_in_certificate

String

SAP HANA インスタンスに enable_ssl: true を指定する場合は、SSL 証明書に設定されているホスト名を指定する必要があります。

hana_monitoring_configuration.hana_instances.tls_root_ca_file

String

SAP HANA インスタンスに enable_ssl: true を指定する場合は、セキュリティ証明書のパスを指定する必要があります。

hana_monitoring_configuration.queries.enabled

Boolean

省略可。すべての SAP HANA インスタンスに対して SQL クエリを有効にするには、その SQL クエリの enabled パラメータに値 true を指定します。

hana_monitoring_configuration.queries.name

String

構成ファイルでカスタムクエリを定義している場合は、カスタムクエリごとに一意の名前を指定する必要があります。

クエリ名は、Monitoring で指標のデフォルト URL を構築するために使用されるため、一意であることが必要です。

hana_monitoring_configuration.queries.sql

String

エージェントが SAP HANA インスタンスに発行する SQL ステートメントを指定します。

SQL ステートメントは、SAP HANA SQL と System Views Reference で SAP が定義している SQL 構文に準拠している必要があります。
hana_monitoring_configuration.queries.sample_interval_sec

Int

省略可。SQL クエリのサンプル間隔を指定します。これはグローバル サンプル間隔をオーバーライドします。値は 5 秒以上にする必要があります。

hana_monitoring_configuration.queries.columns.name

String

各列を一意に識別する名前を指定します。

列名は、Monitoring で指標のデフォルト URL を構築する際に使用されるため、一意であることが必要です。

hana_monitoring_configuration.queries.columns.metric_type

String

Monitoring で処理する場合、METRIC_LABELMETRIC_GAUGE、または METRIC_CUMULATIVE のいずれかの指標タイプを指定します。

METRIC_LABEL タイプの指標は、Monitoring に送信されるすべての METRIC_GAUGE 指標と METRIC_CUMULATIVE 指標にラベルとして追加されます。

hana_monitoring_configuration.queries.columns.value_type

String

Monitoring で処理する場合、指標タイプでサポートされているデータ型を指定します。

サポートされているデータ型は、VALUE_BOOLVALUE_INT64VALUE_STRING、または VALUE_DOUBLE です。詳細については、サポートされている組み合わせをご覧ください。

hana_monitoring_configuration.queries.columns.name_override

String

省略可。Monitoring で処理する場合は、クエリ名と列名の代わりに、指標 URL に表示するパスを指定します。例:

  • 指標のデフォルトの URL: workload.googleapis.com/sap/hanamonitoring/QUERY_NAME/COLUMN_NAME
  • カスタムパスを使用している指標の URL: workload.googleapis.com/sap/hanamonitoring/CUSTOM_PATH

トラブルシューティング

Google Cloud の SAP 用エージェントをインストールして構成するときに発生する可能性のある問題の診断と解決については、Google Cloud の SAP 用エージェントのトラブルシューティング ガイドをご覧ください。

サポートを受ける

Google Cloud の SAP 用エージェントの問題を解決するには、利用可能なすべての診断情報を収集し、Cloud カスタマーケアにお問い合わせください。カスタマーケアへのお問い合わせについては、Google Cloud での SAP に関するサポートを受けるをご覧ください。