このドキュメントでは、Migrate to Virtual Machines を使用して、移行元の環境から Google Cloud に仮想マシン(VM)を移行する方法について説明します。移行元の環境として、オンプレミス環境、プライベート ホスティング環境、または別のクラウド プロバイダで実行されているケースを想定しています。
このドキュメントでは、Migrate to Virtual Machines の概要と用途について説明します。また、VM の移行を計画する際に考慮すべき重要なポイントと、VM の移行方法のガイダンスについて説明します。
このドキュメントは、Migrate to Virtual Machines を使用して、サポートされている移行元の環境から Compute Engine に VM を移行することを計画する際に役立ちます。移行元の環境としては、次のようなものがあります。
Migrate to Virtual Machines を使用すると、Google Cloud への VM の移行を効率的に行うことができます。信頼性の高いツールチェーンを設計して実装する必要はありません。Google Cloud で VM の動作を手動で評価してから手動で移行する必要もありません。Migrate to Virtual Machines を使用すると VM の移行が効率的に行われるため、時間を節約し、ワークロードの改善に集中できます。
このシリーズは、次のドキュメントを読み、精通していることを前提としています。
- Migrate to Virtual Machines のアーキテクチャ: Migrate to Virtual Machines のリファレンス アーキテクチャについて説明しています。
Google Cloud への移行を設計する
移行元の環境から VM を Google Cloud に移行するには、Google Cloud への移行シリーズで説明されているフレームワークに従うことをおすすめします。
次の図は、移行の過程を示しています。
上の図に示すフレームワークは、4 フェーズで構成されています。
- 評価。このフェーズでは、移行元の環境を評価し、Google Cloud に移行するワークロードを評価して、どの VM が各ワークロードをサポートするのかを評価します。
- 計画。このフェーズでは、リソース階層のプロビジョニングやネットワーク アクセスの設定など、Migrate to Virtual Machines の基本インフラストラクチャを作成します。
- デプロイ。このフェーズでは、移行元の環境の VM を Compute Engine に移行します。
- 最適化。このフェーズでは、クラウドのテクノロジーと機能を最大限に活用します。
移行元の環境とワークロードを評価する
評価フェーズでは、次の情報を収集します。
- 移行元と移行先の環境
- 移行するワークロード
移行を計画し、移行と移行先の環境に必要なリソースの適正サイズを決定するには、移行元の環境と移行するワークロードを評価することが重要です。環境を評価する方法については、Google Cloud への移行: ワークロードの評価と検出をご覧ください。
環境を評価したら、次のような Migrate to Virtual Machines に固有の要件を考慮して、環境を改善します。
Migrate to Virtual Machines の要件。Migrate to Virtual Machines の要件を評価し、移行元の環境と移行先の環境の両方で、Migrate to Virtual Machines が移行に必要とする機能やリソース(ネットワーク接続や帯域幅など)、安全な通信チャネルを確保します。移行元に応じて、VMware の要件、AWS の要件、または Azure の要件を評価します。
Migrate to Virtual Machines に必要な権限。Migrate to Virtual Machines に必要な権限の種類がわかったら、その権限がセキュリティ要件を満たしているかどうかを判断します。Migrate to Virtual Machines に必要な権限を評価します。
基盤を構築する
このセクションでは、Migrate to Virtual Machines の基盤を構築する方法について説明します。
移行元に応じて、VMware からの移行、AWS からの移行、または Azure からの移行のガイダンスを確認します。それ以外の場合は、このセクションのガイダンスに沿って進んでください。
移行元の環境と Google Cloud で Migrate to Virtual Machines の基盤を構築するには、次の操作を行います。
- Google Cloud の基盤を構築する。
- 移行元の環境を準備する。
Google Cloud の基盤を構築する
Google Cloud で Migrate to Virtual Machines の基盤を構築するには、次の操作を行います。
- リソース階層をプロビジョニングします。Migrate to Virtual Machines では、移行プロセスを制御するため(ホスト プロジェクト)、および移行先の環境として(ターゲット プロジェクト)、Google Cloud プロジェクトを使用します。Migrate to Virtual Machines にはホスト プロジェクトが必要です。必要に応じて、移行した VM の移行先として使用するターゲット プロジェクトを 1 つ以上追加することもできます。
- Migrate to Virtual Machines サービスを有効にします。Migrate to Virtual Machines は、特定の Google Cloud APIs とサービスに依存します。必要な API とサービスを有効にする方法については、Migrate to Virtual Machines サービスの有効化をご覧ください。
移行元の環境を準備する
移行元の環境で Migrate to Virtual Machines の基盤を構築するには、Migrate Connector をインストールし、環境を移行元として構成します。Migrate Connector の詳細については、Migrate to Virtual Machines のアーキテクチャをご覧ください。
VM を移行する
基盤を構築したら、移行元の環境から Google Cloud に Migrate to Virtual Machines を使用して VM を移行します。
Migrate to Virtual Machines の移行の構造
次に挙げる用語は、サポートされている移行元の環境から Google Cloud への VM の移行を系統立てて理解するうえで重要です。
- VM 移行ライフサイクル。Migrate to Virtual Machines で移行する VM は一連のフェーズをだどります。これらのフェーズは VM 移行ライフサイクルの一部です。Migrate to Virtual Machines では、これらのフェーズに沿って自動的に VM の移行を進めます。
- グループ。Migrate to Virtual Machines では、移行する VM のセットを作成できます。これらのセットはグループと呼ばれます。VM を論理的に分離して一括で移行するには、グループを使用します。VM をグループで移行すると、Migrate to Virtual Machines は、グループ内の各 VM に対して(またはオプションで、グループ内の VM サブセットに対して)VM 移行ライフサイクルのすべてのオペレーションを実行します。たとえば、大規模なグループに 1 つまたは 2 つの VM のテストクローンを作成し、そのクローンが Google Cloud で正しく機能するかどうかを評価できます。
- OS 適応Migrate to Virtual Machines を使用して Google Cloud に移行する場合、適切に機能するように VM の構成を変更する必要があります。このような変更は OS 適応と呼ばれます。Migrate to Virtual Machines では、移行する VM に OS 適応が自動的に適用されます。
Migrate to Virtual Machines で VM を移行する
Migrate to Virtual Machines を使用して VM を移行するには、次の操作を行います。
- グループを使用して移行を整理する。移行のリスクを軽減するため、グループを使用して移行する VM を論理的に分離することをおすすめします。移行する VM をグループ化するためには、評価フェーズで収集した情報が役立ちます。たとえば、VM がサポートしているアプリケーションに基づいて VM をグループ化したり、VM が接続されているネットワークに基づいてグループ化したりできます。
- マシンの推奨サイズと使用率に関する分析情報を収集する。リソースを評価し、ソースマシンに最適なターゲット マシンを決定するには、ソース VM 使用率レポートを生成することにより、マシンの推奨サイズ提案とレポートを収集します。
各グループを移行します。VM の各グループで移行を実行します。Migrate to Virtual Machines では、VM 移行ライフサイクルの一部として、Google Cloud で VM のテストクローンを使用できます。移行前に、VM が Google Cloud で正しく機能するかどうかを検証するためにテストクローンを使用することをおすすめします。
Migrate to Virtual Machines を使用した VM グループの移行の詳細については、Migrate to Virtual Machines を使用した VM グループの移行をご覧ください。
移行後の環境を最適化する
すべての移行フェーズを完了すると、移行は完了したものとみなされます。ただし、場合によっては Google Cloud 環境をさらに最適化する必要があります。たとえば、Compute Engine VM のサイズの適正化を行うことができます。また、マネージド サービスの使用を開始することもできます。
最適化の詳細については、Google Cloud への移行: 環境を最適化するをご覧ください。