このドキュメントでは、API リクエストを作成して、Compute Engine API からの API レスポンスを処理する方法について説明します。このドキュメントで説明する内容は以下のとおりです。
- リクエスト本文を作成する。
- リクエストに必要なリソース URI を確認する。
- API レスポンスを処理する。
- API リクエストが成功したかどうかを確認する。
このドキュメントでは、API の認証方法については説明しません。API の認証方法については、Compute Engine への認証をご覧ください。
始める前に
API リクエストの作成
Compute Engine API は、API リクエストが JSON 形式で記述されているものとして処理を進めます。API リクエストを作成するには、curl
または httplib2
のようなツールを使用して直接 HTTP リクエストを行うか、利用可能なクライアント ライブラリの一つを使用します。
リクエスト本文を必要とする API リクエスト(POST
、UPDATE
、PATCH
リクエストなど)を行う場合、リクエストの本文には、このリクエストで設定するリソース プロパティを含めます。たとえば、次の curl
コマンドは、インスタンス リソース URI に対して POST
リクエストを行います。このリクエストでは、リクエストの本文に定義されたプロパティを持つインスタンスが作成されます。リクエストの本文は、-d
フラグで指定します。
curl -X POST -H "Authorization: Bearer [OAUTH_TOKEN]" -H "Content-Type: application/json" https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/instances -d '{ "disks":[ { "boot":"true", "initializeParams":{ "sourceImage":"https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/debian-cloud/global/images/debian-10-buster-v20210122" } } ], "machineType":"https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/machineTypes/e2-standard-2", "name":"VM_NAME", "networkInterfaces":[ { "accessConfigs":[ { "name":"external-nat", "type":"ONE_TO_ONE_NAT" } ], "network":"https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/global/networks/default" } ] }'
イメージ URI のプロジェクト ID(debian-cloud
)が、ユーザーのプロジェクト ID と異なっています。これはイメージがそのタイプに応じて、異なるプロジェクトに属するためです。たとえば、Compute Engine によって提供されているすべての一般公開 Debian イメージは、debian-cloud
プロジェクトでホストされています。
別のリソースを参照する場合は、完全修飾リソース URI を使用します。たとえば、network
プロパティでは、default
ネットワークへの完全修飾 URI を使用します。
API リクエストの例
Python
Java
URI リソースを作成する
Compute Engine API では、別の Google Cloud リソースへの参照を完全修飾 URI として指定します。
https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/RESOURCE_TYPE/SPECIFIC_RESOURCE
API を使用するときに、イメージ、マシンタイプ、ネットワーク、その他の任意のリソースを指定する際にはいつでも、そのリソースに対する URI を指定する必要があります。Google Cloud CLI や Google Cloud コンソールのようなクライアント ツールを使用すれば、こうしたリソース URI の作成という面倒な作業をすべて肩代わりしてくれますが、API を直接オペレーションする場合は、そうしたリソース URI を自分で作成する必要があります。
リソース URI は、リソースのタイプに応じて若干異なります。たとえば、ゾーンリソースには、URI に zone
仕様があります。
https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/machineTypes/e2-standard-2
リージョン リソースでは、zone
仕様が region
仕様に置き換わります。
https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/regions/REGION/addresses/ADDRESS_NAME
同様に、グローバル リソースでは、global
仕様になります。
https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/global/images/VM_NAME
Compute Engine API では、プロジェクト ID などの情報を推測できるため、部分 URI も使用できます。そのため、次のように、上記 URI の部分 URI バージョンも使用できます。
zones/ZONE/machineTypes/e2-standard-2
regions/REGION/addresses/ADDRESS_NAME
project/PROJECT_ID/global/images/VM_NAME
部分 URI では、ゾーン URI とリージョン URI の両方でプロジェクト ID が省略されていますが、イメージ URI では省略されていません。これは、Compute Engine によって一般公開されているイメージが他のプロジェクト(すべての Debian イメージは debian-cloud
、すべての Ubuntu イメージは ubuntu-os-cloud
など)でホストされているためです。こうしたイメージを使用する前に、適切なプロジェクト ID を指定する必要があります。イメージのプロジェクト ID を省略すると、Compute Engine は現在のプロジェクト内のイメージを見つけようとしますが、イメージが存在しないため、リクエストは失敗します。
ただし、プロジェクト(このリソースを作成しているプロジェクト)に属するカスタム イメージを使用する場合は、イメージ URI を指定する際にプロジェクトの指定を省略できます。
必要なプロパティを確認する
v1 API とベータ版 API で利用可能な Compute Engine API リファレンス ドキュメントでは、特定のリソースに設定可能なすべてのプロパティについて説明しています。このリファレンス ドキュメントでは、変更可能なプロパティと変更不可のプロパティ(プロパティの説明で [Output Only]
とマークされている)を区別していますが、リソースの必須プロパティを確認するには、そのタスクに固有のドキュメントを参照する必要があります。
たとえば、インスタンスを作成する場合は、イメージからのインスタンスの作成のドキュメントで、リクエストに必要な API プロパティを確認してください。API で静的外部 IP アドレスを作成する場合は、静的外部 IP アドレスのドキュメントをご覧ください。
API リクエストの検証
API リクエストを検証するには:
- Compute Engine API リファレンスで、コードが呼び出すメソッドを確認します(例:
v1/compute.instances.insert
)。 コンテンツ メニューから [試してみる] をクリックします。[この API を試す] ウィンドウが開きます。
検証ではリクエストを送信する必要がないため、[リクエスト パラメータ] でプロジェクトやゾーンを指定する必要はありません。
[リクエスト本文] に、リクエストを貼り付けます。
リクエストの形式が正しくない要素に、下線が引かれます。対処すべき問題の詳細については、下線付きのセクションをクリックしてください。
API レスポンスを処理する
データを変化させる(変更する)リクエストを作成すると、Compute Engine は Operation
オブジェクトを返します。リクエストのオペレーションのステータスは、このオブジェクトをポーリングすることで取得できます。Operation
リソースは、次のような形になります。
{ "kind": "compute#operation", "id": "7127550864823803662", "name": "operation-1458856416788-52ed27a803e22-1c3bd86a-9e95017b", "zone": "https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE", "operationType": "insert", "targetLink": "https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/instances/EXAMPLE_VM", "targetId": "4132355614508179214", "status": "PENDING", "user": "user@example.com", "progress": 0, "insertTime": "2016-03-24T14:53:37.788-07:00", "selfLink": "https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/operations/operation-1458856416788-52ed27a803e22-1c3bd86a-9e95017b" }
元のリクエストがゾーンリソースを変更する場合(ディスクのスナップショットやインスタンスの停止など)、Compute Engine は zoneOperations
オブジェクトを返します。同様に、リージョン リソースとグローバル リソースは、それぞれ regionOperations
オブジェクトまたは globalOperations
オブジェクトを返します。オペレーションのステータスを取得するには、特定の Operation
リソースに対して get
メソッドまたは wait
メソッドを使用するリクエストを行い、オペレーションの name
を指定します。
Operation
リソースのステータスが DONE
と返されるまでリクエストは完了していません。リクエストの性質によっては、完了までに時間を要することもあります。Operation
リソースのステータスが DONE
として返されたら、オペレーションが成功したかどうか、エラーが発生していないかどうかを確認できます。
たとえば、次のレスポンスは、上記のオペレーションが完了したこと表しており、DONE
ステータスにより示されています。
endTime: '2016-03-24T14:54:07.119-07:00' id: '7127550864823803662' insertTime: '2016-03-24T14:53:37.788-07:00' kind: compute#operation name: operation-1458856416788-52ed27a803e22-1c3bd86a-9e95017b operationType: insert progress: 100 selfLink: https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/operations/operation-1458856416788-52ed27a803e22-1c3bd86a-9e95017b startTime: '2016-03-24T14:53:38.397-07:00' status: DONE targetId: '4132355614508179214' targetLink: https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/instances/EXAMPLE_VM user: user@example.com zone: https://compute.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE
確認するには、リソースに対して get
リクエストを行い、リソースが存在し、実行中であることを確かめます。例:
GET /compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/instances/EXAMPLE_VM { "cpuPlatform": "Intel Haswell", "creationTimestamp": "2016-03-24T14:53:37.170-07:00", "disks": [ ..[snip].. "selfLink": "https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE/instances/EXAMPLE_VM", "status": "RUNNING", "tags": { "fingerprint": "42WmSpB8rSM=" }, "zone": "https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/PROJECT_ID/zones/ZONE" }
オペレーションをポーリングする
オペレーションを定期的にポーリングするコードは、get
リクエストか、オペレーションのステータスが DONE
になったときに戻ってくる wait
リクエストを使用して作成できます。
get
リクエストを使用すると、オペレーションのステータスに関係なく、オペレーションがすぐに返されます。オペレーションが完了したかどうかを知るためには、オペレーションを定期的にポーリングする必要があります。
wait
リクエストを使用すると、オペレーションが DONE
になるか、リクエストが 2 分間の期限に近づくとリクエストが戻ります。オペレーションをポーリングするには、wait
か get
を使用しますが、wait
メソッドの方が get
メソッドより明らかなメリットがあります。
- クライアントでオペレーション ステータスをポーリングする頻度を下げることで、Compute Engine API の QPS 使用量を削減できます。
- オペレーションが完了してからクライアントにオペレーションの完了が通知されるまでの平均レイテンシは、オペレーションが完了したらすぐにサーバーが応答するため、大幅に削減されます。
- このメソッドは期限付きで待機します。このメソッドは、デフォルトの HTTP タイムアウト(2 分)まで待機すると、オペレーションの現在の状態(
DONE
または進行中)を返します。
wait
メソッドは、ベスト エフォートの API です。サーバーが過負荷状態になると、デフォルトの期限に達する前や、0 秒間の待機でリクエストが戻ることがあります。また、オペレーションが DONE
の場合にのみメソッドが戻ることは保証しません。たとえば、リクエストが 2 分間の期限に近づくと、オペレーションが完了していなくてもメソッドが戻ります。オペレーションを確認するには、wait
メソッドまたは get
メソッドを(スリープを間に挟んだ再試行ループで)使用し、オペレーションのステータスを定期的にポーリングすることをおすすめします。最大再試行間隔は、最小オペレーション保持期間を超えないようにしてください。
ポーリングの例
次の例では、get
メソッドを使用します。get
メソッドは wait
メソッドに置き換えることができます。